相続税、贈与税
相続税、贈与税
所得税・贈与税の確定申告期限も過ぎ、皆様も無事申告を済まされた事と思います。遅ればせながら住宅資金をお父様、お母様などから贈与を受けた際に非課税にできる「「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」という制度について、いくつかポイントをご紹介いたします。
父母や祖父母などの直系尊属から資金の贈与を受けて、その資金で自己の居住用の家屋を新築・取得・増改築した場合、その家屋の敷地を取得した場合に、一定の要件を満たすと非課税限度額までは贈与税が非課税になる制度です。ご本人の直系尊属なので、配偶者の父母・祖父母からの贈与は適用がありません。
贈与を受けた人ごとの非課税限度額は、消費税が8%の場合には次の通りです。
「省エネ等住宅」とは、省エネ等基準(断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること又は高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること)に適合する住宅用の家屋であることにつき、一定の書類により証明されたものをいいます。
お祖父様とお父様の両方から資金援助を受けた場合は、それぞれの贈与額ごとではなくて、合計で上の限度額まで非課税となります。あくまでも資金の贈与を受けて新築・取得・増改築をすることが要件ですので、住宅を贈与してもらった場合や、住宅ローンの返済資金を贈与してもらった場合は適用がありません。
出典:国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4508.htm
この特例の適用を受けた場合は、いわゆる「生前贈与加算」(被相続人からその相続発生時から遡って3年以内に贈与を受けた財産を相続財産に加算して相続税を計算すること)の対象とならないので状況が許せば活用したい制度ですが、様々な要件が定められています。
その年の1月1日で20歳以上、合計所得金額が2,000万円以下等の他に、次の住宅の新築等を行って、居住することも要件とされています。
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、床面積の2分の1以上が居住用であること、その他の要件が定められています。
贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなどを添付して申告する必要があります。
では、資金は援助していただいたけれども翌年3月15日に完成していない場合は適用はないのでしょうか?実はその場合でも、3月15日に「新築の工事が完了に準ずる状態」であれば適用が認められます。「完了に準ずる状態」とは棟上げが終わっている状態とされていて、工事を請け負った建設業者等に棟上げが完了していることについて証明書を発行してもらって申告書に添付します。
また、未完成なので建物の登記事項証明書も申告書に添付出来ないため、「居住の用に供したときは遅滞なく登記事項証明書を税務署長に提出することを約する書類」も添付します。
上に書いた通り「省エネ等住宅」は非課税限度額が大きくなりますが、「省エネ等住宅」に該当するかどうかの証明書としては、住宅性能証明書や建設住宅性能評価書等を入手することになりますが、これらは工事完成後でないと発行してもらえないので申告書に添付することが出来ません。そこで、「工事が完了したときは遅滞なく住宅性能証明書等を税務署長に提出することを約する書類」を作成して添付します。
建設業者の発行する証明書や、「遅滞なく提出することを約する書類」は特に様式は定められておらず、任意のフォーマットで作成すれば良いようですが、先日お付き合いしている府中の工務店様がこのような証明書を出されていることが分かりました。
お聞きしたところ、インターネットで検索して見つけたと仰っていたので、私もいろいろと調べてやっとこのページにたどり着きました。普段から国税庁のページはよく調べていましたが、関東信越国税局が約定書様式をご提供されていたことは気付いていませんでした。
http://www.nta.go.jp/kantoshinetsu/topics/zoyo/index.htm
実は国税庁が用意している申告書作成用のチェックシートを見て一瞬はっとした点がありました。「平成29年3月15日までに住宅用家屋の新築又は取得をし、贈与を受けた金銭の全額をその対価に充てましたか。」という項目があり、3月15日ぎりぎりに棟上げが完了した場合に、支払スケジュールによっては贈与を受けた金額がまだ支払に充てられずに手許に残っている事も考えられます。その場合この質問に対してどう答えるか頭を悩ますよりも、援助額までの支払を済ませておいた方がリスクを避けられると考えた次第です。
実際にこの特例の適用を受けようとすると、ここでカバーされていないかなり細かい要件も定められていますので、お近くの税理士にご相談されることをお勧めします。
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