経営改善支援

29年度税制改正ー中小企業者の固定資産税が安くなる?

2017.03.21|経営改善支援

固定資産税の特例が器具備品・建物付属設備にも拡充

制度の概要

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現行制度

2016年7月1日以降に取得した機械装置は一定の条件を満たせば、固定資産税が3年間半額になることはごじでしたか?その条件は

  1. 資本金1億円以下の会社(大企業の子会社は除く)、個人事業主等が
  2. 認定を受けた経営力向上計画に基づき取得する新品で
  3. 160万円以上で
  4. 旧モデル比で生産性が年1%以上向上することについて工業会等の確認がある(リースも利用可)

と言うものでした。これらの条件を満たせば、赤字企業であっても、その機械装置に掛かる固定資産税が3年間にわたって半分になるという制度です。

平成29年度税制改正による拡充

29年度の税制改正によって対象となるものが機械装置だけではなく、2017年4月1日から2019年3月31日までに取得する器具備品建物付属設備にも拡充されます。その際には上の1番目、2番目、4番目の条件は同様に満たす必要がありますが、3番目の金額基準は、器具備品は30万円以上建物付属設備は60万円以上となります。業務用冷蔵庫、冷蔵陳列棚、サーバー、空調設備その他が新しく対象になってきます。

ところが、拡充された器具備品と建物付属設備については地域と業種の限定があって、上の条件を満たせば誰でもこの特例が使えると言う訳ではありません。具体的には最低賃金が全国平均を上回る7都府県(東京、神奈川、大阪、愛知、埼玉、千葉、京都)以外は全業種が対象となります。そしてこの7都府県では、労働生産性が全国平均未満の業種のみを特例の対象とする、となっていて各都府県毎にどの業種が対象でどの業種は対象とならないかは、2017年3月中に総務省がリストを公表する予定です。ちなみに、この地域は事業者の本店等の所在地ではなく、その器具備品や建物付属設備を設置する地域で判定します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

税務上は、事業の用に供した日で取得の日が決まりますので、2017年3月中に検収した器具備品や建物付属設備でも、4月以降に使い始めた場合には基本的に対象となると考えられます。工業会等の確認(証明書の発行に2ヶ月程度かかる場合もあります)や経営力向上計画の認定(事前認定が原則ですが、遅くとも所得日から60日以内の申請書の受理が条件)のタイミングにもご注意ください。

認定を受けた経営力向上計画に基づいて取得するものが対象となるため、取得後に認定を受けた場合には要注意です。東京都主税局のホームページに、よくあるご質問として改正前の事例ですが次のようなQ&Aが載っています。

Q 平成28年12月に設備を取得し、平成29年2月に計画の認定を受けた場合、軽減措置は受けられますか。

A 設備の取得日から計画認定までの間に賦課期日(1月1日)をはさむ場合、1月1日現在において特例の要件を満たさないため、初年度(平成29年度申告分)については軽減措置を受けることができません。そのため、平成30,31年度の2年度分についてのみ軽減の対象となります。

出典:

http://www.tax.metro.tokyo.jp/shisan/keieiryokukojyo-tokurei.html

 経営強化法認定

経営強化法認定を受けるためには

経営強化法認定を受けるためには、経営力向上計画を策定して事業分野別の主務大臣に認定申請をする必要がありますが、その内容は①企業の概要、②現状認識、③経営力向上の目標及び経営力向上の程度を示す指標、④経営力向上の内容等とされていて、実質2枚の様式をダウンロードして記入するだけです主務大臣に提出してからの標準処理期間は30日(複数の省庁にまたがる場合は45日)とされています。

製造業、卸・小売業等12の業種については「事業分野別指針」が定められていて、その指針に沿って作成することができます。それ以外の業種は「基本方針」が公表されているので、それを踏まえて計画を策定します。

基本方針による経営力向上の内容とは

例えば「基本方針」には経営力向上の内容として次の4つが例示されていて、これらの内1つについて書けば良いと言われています。

  1. 事業活動に有用な知識又は技能を有する人材の育成
  2. 財務内容の分析の結果の活用
  3. 商品又は役務の需要の動向に関する情報の活用
  4. 経営能率の向上のための情報システムの構築

経営力向上計画の策定サポート

中小企業庁のホームページから記入例をダウンロードできますし、財務分析のために「ローカルベンチマーク(ロカベン)」というツールが用意されていて、決算書から数字を入力するとすぐに分析結果を見ることができますので、作成のハードルはかなり低いでしょう。

経営革新等支援機関(公認会計士、税理士、地域金融機関等)からのサポートを受けることもできますのでご検討ください。

事業分野別の認定件数

2017年1月31日現在、13,458の事業者が認定されていて、その内製造業が10,341件と大半を占めていますが、医療、福祉業が282件、サービス業(他に分類されないもの)が302件、学術研究、専門・技術サービス業が270件、生活関連サービス業、娯楽業が134件と、幅広い業種が対象となっています。普段あまり経営計画になじみのない事業者の方々も、投資のご予定があればこの制度を活用して節税と経営力強化を目指されてはいかがでしょうか?

経営強化法認定のその他のメリット

実は経営力向上計画の認定を受けると「中小企業経営強化税制」による税額控除や即時償却、また商工中金、保証協会の金融支援といったその他のベネフィットも用意されているので大いに活用していただきたい制度となっています。これについてはまた改めてまとめてご説明いたします。

#経営力向上計画  #経営強化法 #固定資産税の特例

 

 

 

 


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